この記事は2018年、2019年にXでアンケートをとったまとめです。現在リンク切れのXユーザー様は名前の表記のみとさせていただきますのでどうかご了承ください。

もちもちおもち!でおなじみの(?)おもち君です。今日はXの読書垢フォロワーさんにおすすめされた小説を紹介するよ。有名な作品からマイナーな作品まであるから隠れた名作を探してみてね。
- 隠れた名作20選のリスト
- 小説20選の簡単なあらすじやおすすめポイント
- 「私が笑ったら、死にますから」と、水品さんは言ったんだ。/ 隙名こと
- 症例A/多島斗志之
- 幻想古書店で珈琲を あなたの物語/蒼月海里
- 70年分の夏を君に捧ぐ/櫻井千姫
- 夏と花火と私の死体/乙一
- 猫を抱いて象と泳ぐ/小川洋子
- ポイズンドーター・ホーリーマーザー/湊かなえ
- 屍人荘の殺人/今村昌弘
- 若きウェルテルの悩み/ゲーテ
- むらさきのスカートの女/今村夏子
- 悪女について/有吉佐和子
- 風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった/ウィリアム・カムクワンバ
- インフェルノ/ダン・ブラウン
- 鴨川ホルモー/万城目学
- 荒野のおおかみ/ヘルマン・ヘッセ
- まんがと図解でわかる7つの習慣/スティーブン・R・コヴィー
- ショパンゾンビ・コンテスタント/町屋良平
- 弟を殺した彼、と僕。/原田正治
- 居酒屋/エミール・ゾラ
- 人間の土地/サン・テグジュペリ
- 次に読みたい本を聞いてみた
隠れた名作20選のリスト
まずは今日紹介する本のリストだよ。
- 「私が笑ったら、死にますから」と、水品さんは言ったんだ。/ 隙名こと
- 症例A/多島斗志之
- 幻想古書店で珈琲を あなたの物語/蒼月海里
- 70年分の夏を君に捧ぐ/櫻井千姫
- 夏と花火と私の死体/乙一
- 猫を抱いて象と泳ぐ/小川洋子
- ポイズンドーター・ホーリーマーザー/湊かなえ
- 屍人荘の殺人/今村昌弘
- 若きウェルテルの悩み/ゲーテ
- むらさきのスカートの女/今村夏子
- 悪女について/有吉佐和子
- 風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった/ウィリアム・カムクワンバ
- インフェルノ/ダン・ブラウン
- 鴨川ホルモー/万城目学
- 荒野のおおかみ/ヘルマン・ヘッセ
- まんがと図解でわかる7つの習慣/スティーブン・R・コヴィー
- ショパンゾンビ・コンテスタント/町屋良平
- 弟を殺した彼、と僕。/原田正治
- 居酒屋/エミール・ゾラ
- 人間の土地/サン・テグジュペリ
小説20選の簡単なあらすじやおすすめポイント
ここからは一作品ずつ簡単なあらすじや、おすすめしてくれたXのフォロワーさんからの紹介コメントを掲載していくよ。
「私が笑ったら、死にますから」と、水品さんは言ったんだ。/ 隙名こと
父親が亀に当たって死んだ、という衝撃的な一文にいきなり掴まれます。
故あってクラスで陰キャポジションである男子高校生駒田くんが、不登校気味のクラスの美少女水品さんに巻き込まれて展開していく青春ストーリーです。
ミステリーではあるけれど、人が死なない程度の日常物。米澤穂信の『氷菓』シリーズや、初野晴『ハルチカ』シリーズが好きな方は楽しめると思います。
何よりヒロインの水品さんが可愛い。駒田くんも何だかんだで健気で全うに生きていていじらしいのです。理不尽なことに対して正義感を振りかざしたくても、自分なんかが、、って、弱気になることは多いです。
そうするには何か資格が必要で、そしてただ誰も傷つけずに生きてるだけではその資格に足りない気がどうしてもしてしまう。そんなモヤモヤを抱えている子に一歩寄り添ってくれるような物語でした。オススメです。
あとTwitter(現X)で作者の隙名ことさんと尋常ではないほどコミュニケーションが取れます(笑)
ひでじ@福岡/@hideji_NTG さんより
隙名ことさんは僕もフォローしている作家さんだ。
Twitterでもよく『「私が笑ったら、死にますから」と、水品さんは言ったんだ。』の感想や読了ツイートを見かけるよ。
それは紹介者の感想にある通り、著者の隙名 こと(すきなこと)さんと気軽にコミュニケーションが取れるということから、応援の意味も込めて読者がツイートしているのではないかと思う。
作家は孤高で気高き存在、というのはもうひと昔前の話なのかもしれない。
去年の暮れに米澤穂信さんの「氷菓」を読んだばかりなんだけど、いつも重々しい小説ばかり読んでいる人には息抜きに丁度良いのではないだろうか。
表紙がライトノベルのようだとつい敬遠してしまう僕だが、読んでみると意外と面白かったと思うことが多い。
症例A/多島斗志之
一種のサイコミステリーではあるけれど、大きな2つの物語が並行して進み、最後には違和感なく一つに重なる。
精神科医と臨床心理士との確執など、リアル過ぎる描写が素晴らしい。「精神科医を弄ぶ17歳の少女」これだけで、ご飯おかわり出来ます。
かめさま@やさぐれ読書日常垢/@ksaikamone0120 さんより
「精神科医を弄ぶ17歳の少女」というフレーズを見たとき、これはもしかしたら僕の病気か、それに近いものの話なのではないだろうか、とピンときた。
少女に対し精神科医は「境界例」の疑いを持ち、臨床心理士は「解離性同一性障害」の可能性を指摘するんだ。
個人的に紹介された本の中で一番興味がある本。
多重人格といえば、ダニエル・キイスの「24人のビリー・ミリガン」、国内のサイコミステリー小説と言えば貴志祐介さんの「悪の教典」「黒い家」などが有名どころだろうか。
この「症例A」の内容も気になるところだけど、著者の多島 斗志之(たじまとしゆき)さん、2009年に両目の失明を苦に失踪したというのが驚きだった。
幻想古書店で珈琲を あなたの物語/蒼月海里
本や人との縁を失くした者の前にだけ現れる不思議な古書店『止まり木』シリーズ完結巻。
始まりがあれば終わりもあって、永遠はないからこそ大切な人を見失わないでいたい、その大切さをシリーズを通して実感しました。
あとがきにて『この作品は書店員として私の手作りポップと言っていいかもしれません』とおっしゃっていたように、今まで触れなかった作品との出会いに誘われました。
有名な古典文学から近代文学まで多くの作品が取り上げられ、それぞれ物語の受け取り方、読み方、考えの違いを知ることもできて更に読書の幅が広がりました。
この本に出会えて本当に良かった。たくさんの縁との巡り会いに感謝します。
双子moon(幻ノ月音)読書と創作/@moon61226676 さんより
「幻想古書店で珈琲を」はシリーズものの小説で、全7巻。
本を題材にした小説と言えばドラマにもなった「ビブリア古書堂の事件手帖」が記憶に新しい。
本好きであれば、本が題材の小説は楽しめないはずがない。
海外古典から近代文学まで幅広く登場するらしいので、新しい本との出会いや発見がありそうだ。
70年分の夏を君に捧ぐ/櫻井千姫
2015年の夏、東京都に住む高校二年生の百合香。1945年、戦時中の広島で日々の生活を送る千寿。百合香と千寿は、夢の中で不思議な体験をする。
朝、二人はお互いの体が入れ替わっている事実に直面する。設定的には、同地域での入れ替わりが普通だが、この作品は、東京と広島とで地域が違う。このところが、重要な要素であり、読み進めていくと納得できる設定であった。
広島の原爆投下前日、千寿、百合香ともに選択を迫られる。そして、原爆投下。
二人は、それぞれの葛藤を乗り越え、自分なりの導き出した答えに従い行動する。その姿は涙を誘う。
百合香の友人が軽い設定な分、千寿の友人、菜穂子は好印象を持つ。彼女の生死も気になる作品。
蛍雪 さんより
二人の人間の入れ替わり、という設定はこれまでにも多くの小説で使われてきた設定だね。
東野圭吾の「秘密」、池井戸潤の「民王」、森絵都の「カラフル」、小説じゃないけど大ヒットしたアニメ「君の名は。」など。
こうした人格の入れ替わりを設定にした物語は、本来知ることのないことを知ったらどうなるのだろうか、という疑問と好奇心を揺さぶられる。
設定は同じでも、入れ替わる二人の関係性、人間性、時代性によって話は全く違うものとなる。
入れ替わりものということより、どんな二人が入れ替わるのか、ということに注目してほしい。
僕は広島に近いところで生まれ育ち、原爆ドームにもよく行っていたので原爆が題材にされたこの本は個人的に気になる作品なんだ。
夏と花火と私の死体/乙一
この本は乙一のデビュー作であり、当時17歳であった作者が初めてジャンプノベル大賞を受賞した作品。正直この本を読んだとき驚いた。
タイトルに”夏と花火”とある通り”花火”が打ち上がるシーンがあるが、この”花火”を表現する言葉やフレーズがとてもリアリティと臨場感、まるで小説内に自分が入り込んだように感じるほどであった。
それを自分とあまり年の離れていない時期に書いたとは思えない。世界中どの17歳を探してもこれほどの表現力を持つ17歳はいないんではないかと。
でも、単純なストーリー性には、やはり17歳なんだと思うところもちらほら。それも含めて17歳の乙一にしか書けなかった本だったと思う。
周 さんより
「GOTH」シリーズは第3回本格ミステリ大賞を受賞し日本とアメリカで映画化されたこともあり有名だ。
「GOTH」はライトノベルとして連載されたものを一般小説として書籍化。
そのことについて「ライトノベルのままでは手にとってもらえない客層がいるという事実を覆せなかったという点では、ある種の敗北である」と「失はれる物語」のあとがきで述べているんだ。
今回この記事で紹介している本は(たまたま)ライトノベルの分野や携帯小説から書籍化された本が多い。
たしかにライトノベルは僕のように敬遠する人間はたくさんいるし(今は割と手にとるようになった)、表紙がアニメタッチというだけで見向きもしない人がたくさん存在する。
乙一さんといい、米澤穂信さんといい、ライトノベル分野から一般小説(とくにミステリー)へ行く人がいることをもっと多くの人が知れば、ライトノベルだから読まないという読まず嫌いももしかしたら減るのかもしれない。
ライトノベルというのは一般小説と何が違うのかという定義も曖昧で、ライトノベル=稚拙ということではない。
僕の経験上、一時期流行った携帯小説(恋愛ものでだいたいがカップルのどちらかが病気をする)ものを除けばライトノベルだから面白くなかった、ということは一度もない。
話が脱線してしまったけど、そんな乙一さんのデビュー作は17歳での出版。
まだライトノベルだ一般小説だ、売れ行きが、なんて気にしていなかった頃の乙一さんのある意味純粋な作品なのではないだろうか。
ってかタイトルまじで好みだー。
猫を抱いて象と泳ぐ/小川洋子
今まで読んだ作品の中で1番好きかもしれません。
小川洋子さんの作品は、いつも世界観が独特で圧倒されるんですが、これは今までを軽々と超越し、容易に作品の中に吸い込まれます。
チェスの話ですが、チェスが全く分からなくても何ら問題なく楽しめ、主人公がチェスの海を漂うさまに誘われ、気付けば自分が泳げないのも忘れて同じ海に潜り込んでました。
読み進めていく中でタイトルの意味を何度かに分けて理解する事になる。全てが繋がっているようで、どれも曖昧な主人公の思い込みが繋げてる、そんな少し物悲しく不思議な作品。
K/@L1ke_a_child さん 2018年10月22日の投稿より
タイトルからしてとても不思議そうな作品。
小川洋子さんの作品は学生時代に「薬指の標本」を早稲田大学で小川洋子さんと同期だったと自慢していた教師から借りて読んで、社会人になったあと「博士の愛した数式」を読んだんだけど、どちらも好きな作品で、紹介にある通り独特な世界観で作品の世界に入り込んだ記憶がある。
将棋、チェス、ポーカーなんかのボードゲームが好きだから「猫を抱いて象と泳ぐ」はチェスの話というところも気になった。
ポイズンドーター・ホーリーマーザー/湊かなえ
この恐ろしい結末が、ほんの些細なすれ違いで生み出されたなんて…仲間内で、男と女で、母と娘で、正義と善意がすれ違う。
同じ事実なのに、両者の解釈はまるで異なる。
パラレルワールドを生きているかのよう。
そうしたすれ違いや思い込みが引き起こす結末の、なんと恐ろしい事かー。
あれ、ひょっとして自分とあいつの間でも…と我が身を振り返らずには居られない。
だい※固定ツイお願いします@本好きな関西の大学生 さんより
湊かなえさんと言えば「告白」。小説も読んだし、映画も観たが身近な出来事をまるでホラーのように恐ろしく描いている作品が多い印象だ。
イヤミス(後味の悪いミステリ)の女王と呼ばれるだけあって、紹介者さんの感想からも伺えるけどきっと読後に気持ち悪さが残るのだろう。
「ポイズンドーター・ホーリーマザー」は短編集だから気軽に読めそう。でも気軽に読むと作品の毒を倍ぐらいに感じるかもしれない。
屍人荘の殺人/今村昌弘
ミステリーなんですけどSF?ホラー?のような異色の作品だと思いました。
正直、こんなタイプのミステリー読んだことなくて途中戸惑いました。
だって。推理小説だと思って読んでいったら、途中でゾンビがでてくるんですよ。
しかも、事故ではなくて殺人がおきる。
やったのは、ゾンビか人か。最後の最後まで、驚き!でした。
つちのーし@読書垢 さんより
デビュー作にして『このミステリーがすごい!』 2018年、週刊文春 2017年ミステリーベスト10/国内部門、『2018本格ミステリ・ベスト10』、で1位を獲得したミステリー小説。
~荘の殺人というタイトルはよく見かけるから、この小説も例にならってクローズドサークルか、と思いきやゾンビの登場。
小説ではあまりないパターンだったかもしれない。
僕の大好きな映画「サイレント・ヒル」もそういえばミステリー×ホラーの作品だ。
神木隆之介主演で映画化もされ、続編の「魔眼の匣の殺人」も発売された。
2018年、2019年に最も注目されたミステリー小説と言っても過言ではない。
若きウェルテルの悩み/ゲーテ
読みながら、「死」と「愛」について考えた。
ぼくはまだ、「死」を体験はおろか触れたことすらない。
そんな状態で「死」について考えるのはおかしく見られがちだけど、ウェルテルはそれに勇気をくれた。
自分の「愛」を確信するのはこわいことなのに、登場人物たちはそれを強く信じていて、それによって行動していた。
人間の模範にしたいと思った。
鱒子 哉/@masukokana さんより
鱒子 哉さんのnoteはこちらから
マスメディアの自殺報道に影響されて自殺する人が増えるということを「ウェルテル効果」って言うんだけど、その言葉の起源となったのがこの小説だ。
音楽の授業でシューベルトの「魔王」や「野ばら」を習った人も多いよね。これらの曲はゲーテの詩にシューベルトが曲をつけたものなんだ。
クラシック界では詩人として知らない人はいないと言っても過言じゃないけど、西洋文学では文豪としても名高い。
今でも多くの人に読まれている作品には時代が変わっても愛される普遍性があって、芸術性もあり、人の心を大きく揺さぶる何かがあると僕は思う。
むらさきのスカートの女/今村夏子
第161回芥川賞受賞作。ネットギャリーさんで見た書影の薄気味悪さに惹かれ発売前に読ませていただいた作品。
「むらさきのスカートの女」と呼ばれ近所で子供達にもネタにされているが実は然して面白味もない普通の女。
この女を観察する一人の女が語り手の中編小説。
“むらさきのスカートの女”と親しくなりたいと思いながらも接触せず遠回しに工作し近付き、観察をエスカレートさせる姿が、行動力があるのかないのか分からずとても不気味で、言葉にならない恐怖を覚えた。
独り虚しい主人公が、勝手に自分と似てると思い込んだ人をターゲットにただただ“見るだけ”のストーキングをする本作は、待ち合わせなどで時間が余った時にふと人間観察をする感覚の延長の様に思い、のめり込み方は置いておくとしても共感が出来、それが更に面白さを誘って心に残った今年の1冊です。
K/@L1ke_a_childさんより
タイトルが「むらさきのスカートの女」、なのに本の表紙は水玉模様のスカート(?)を頭から被った二人の足だけが見えるという不気味さがまず僕の印象に残った。
むらさきのスカートの女が気になって負い続ける主人公。そもそもむらさきのスカートの女というのが存在するのか、というところでもしかしたらこれは主人公の妄想上の人物ではないのかと勘ぐらせる部分もあるし、むらさきのスカートの女を通して自分の内面を投影している作品なのかもしれないとも思った。
著者の今村夏子さんはこれまで出した作品数は多くないんだけど、太宰治賞、三島由紀夫賞、河合隼雄物語賞、野間文芸新人賞、そして芥川賞と出版した本はほぼ賞を獲得している。
2020年には2017年に出版した「星の子」が映画化される予定だ。
悪女について/有吉佐和子
一人の女が死んだ。その女の死因を探る為に27人にインタビューを敢行する。
そこで浮かび上がる女の素性。「天使のよう」「本当に嫌な奴」etc、、、
長編だが短編のように読める。有吉佐和子の傑作。答えがないのが答え。
かめさま@やさぐれ読書日常垢/@ksaikamone0120さんより
不審死を遂げた女性について彼女に関わる27人の人物にインタビュー形式で彼女のことについて聞いていくというちょっと変わった形の物語。
感想にもあるように、ある人はいい人だと言うし、ある人は悪い人だと言ったりして本当はどんな人間なのかがだんだんわからなくなっていく。
人間誰しも仮面をつけながら生きている。周りからいい人、大人しい人、温厚な人だと思われていても何かがきっかけで人を殺してしまうこともあるし、こいつはひどいやつだと思われていても他の部分では優しい人間だったりもする。
この人はこういう人間だという評価は関わった人間によって変わってくるものだと思う。
おそらくこの物語もそういう人間の多面性を描いたものではないだろうか。
「悪女について」は評判も高く舞台、ドラマ化もされている。
風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった/ウィリアム・カムクワンバ
大切な人が痩せ細っていく姿を見たことがありますか?家族、友人、隣人が飢餓に苦しんでいる姿は?アフリカのマラウイを襲った食糧危機。
食べていくために学費が払えず、著者のカムクワンバくんは中学校に行けなくなる。
貧困と飢餓に苦しむ中、彼は学び続けるために図書室に通い続けた。
そこで一冊の本に出会う、『風力発電』。廃品を利用し独学で風力発電をつくりあげた14歳の少年カムクワンバくん。学ぶことの本当の意味を教える感動のノンフィクション。
世界は、国は、何をみているのだろう。この一冊を読むべき、カムクワンバくんの見た世界を見るべきだ。
双子moon読書と創作/@moon61226676さんより
内容は上述の通り。僕たちは今当たり前のように電気や水、ガスを使って生きている。教育も受けられないということはない。だから自分が最低限の生活を送るために必死に何かを学ぼうとすることも少ない気がする。
多くの人は義務教育だから勉強し、その勉強が何の役に立つのが疑問に思いながら生きている(とくに中学校までは)。
それはとても恵まれたことのはずなのに、いや、恵まれているからこそ日本では勉学や読書の本当の素晴らしさに気が付かず大人になっていく。
自分を豊かにするために、また自分の生活を守るために数少ないものから学びとり、実行し、周りの共感を得て目的を成し遂げる著者の姿は今の日本の若い人に知ってもらいたいと感じた。
インフェルノ/ダン・ブラウン
ダ・ヴィンチ・コードシリーズ。神曲をテーマにした作品で、映画化もされてますね。
地獄の見取り図に散りばめられたヒントを頼りに人口を減らすために作られた病原菌のカプセルを探す教授と謎の女性、WHO。ヨーロッパをまたにかけ追う、追われるのドキドキな展開と美術の豆知識もしれて面白いです。
最後の最後での予想外の裏切りもイチオシです。
だんて+さんより
ダン・ブラウンの「ロバート・ラングドン」シリーズは秘密結社イルミナティに関する「天使と悪魔」、レオナルド・ダヴィンチの作品であるウィトルウィウス的人体図、モナ・リザ、岩窟の聖母マリア、最後の晩餐の謎のなぞらえたストーリーの「ダ・ヴィンチー・コード」があり、その三作目がダンテの神曲をベースにした「インフェルノ」。
インフェルノは神曲の「地獄篇」のこと。ダンテの神曲は地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部から成る長編叙事詩で、イタリア文学の最大の古典とされているよ。
個人的にこういった宗教や神話などをモチーフにした作品は大好きで、知らなくても小説を読むことで興味を覚える場合も多い。
「ロバート・ラングドン」シリーズは謎解きサスペンスにアドベンチャーの要素が絡まった作品なので普通の推理小説よりもアクティブな印象を受ける。
今作も映画化されているけど評価はいまいち・・・。小説のほうをおすすめしたい。
鴨川ホルモー/万城目学
笑いあり、青春あり、恋愛あり、SFありと欲張りなほど様々な面白さが、絶妙にミックスされた作品。
「ホルモー」って何? から始まって、その奇想天外な事実に驚愕!登場人物それぞれの思惑が交差して、ラストは怒涛の爽快感!
読み終わった瞬間からもう一度読みたくなる作品でした。
滝田タイシン@創作垢@TaisinTkitaさんより
中国、陰陽道をベースにした青春ファンタジー小説。
主人公は「京大青竜会」という謎のサークルに誘われる。サークルではオニを召喚して戦わせる「ホルモー」という競技が行われていた。
この時点でちょっと面白そうな話だなと思うのは僕だけだろうか。
おそらくファイナルファンタジーで召喚獣を使うような感覚に近いんだろうな。その中国版というイメージ。
他の学校にもサークルがあってそれぞれ四神の名前だったり、主人公の名前は平安時代の陰陽師、安倍晴明からきていたりと陰陽道に対するオマージュが感じられる。
荒野のおおかみ/ヘルマン・ヘッセ
主人公のハラーは、真剣に生きすぎる余り「周りの人間以外の人間」とならざるを得なかった五十歳の男です。
しかし、その生き方にも行き詰まってしまい、自殺をも考えていました。
そんな彼が「魔術劇場」に導かれながら、「周りの人間以外の人間、以外の人間」に発展しようとする過程が描かれた作品です。
より豊かな人生を目指すも、行き詰っている人におすすめです。
反戦論者としてのヘッセの苦悩と、それを乗り越えてきた戦いの成果を感じ取れる作品だと思います。
人格についての考察も鋭く、自分は読んで感嘆しました。
青い蝶さんより
戦争を繰り返そうとする社会状況や、発達する文明に翻弄され日々の生活を送っている人々に対して批判したアウトサイダー的な話かと思いきや、自分と自分以外のもの、自分の内側にあるものとそれを否定する自分という精神分裂病に関わりのある話でもある。
人間は永続する統一体ではないという考え方は、仏教の因果に近いものを感じる。人は絶対的な単一の存在ではなく、因と縁によるもの。
自分の心や二面性、多面性に対する葛藤はそれに気づいた者にしかわからない孤独がつきまとう。
ずっしりと精神にのしかかる作品なので、自分の人生を見つめ直したり、自分とは一体何なのか考えている人におすすめしたい。
まんがと図解でわかる7つの習慣/スティーブン・R・コヴィー
自分を変えたいと思い、名著中の名著を読んでみました。
当たり前だと思いながら意識できていないこと、きちんと言語化できていないことが7つの習慣として紹介されていました。
特に、序章で述べられていた「インサイド・アウト」、第5の習慣である「理解して、そして理解される」は、ふとした時に見落としてしまいやすい傾向にあると思いました。
しかし、重要なのは知っていることよりも実践していること。人生を変えるのは行動だけ。
2020年に向けて、7つの習慣を丁寧に実践していきたいと思います。そして来年は、原作も読みたいと思います。
だい@本好きな関西の大学生さんより
最近文学小説と同じぐらい自己啓発本のツイートをよく見かける。
自己啓発本と言うと難しそうだと感じてしまうかもしれないけど、読んでみると意外と共感できる部分があって、自分がこれからどういう風に生きていきたいかの道標になることもある。
今回の紹介本は漫画なので本が苦手な人でも手が出しやすい。
成功するためには(ビジネスに限らず)7つの習慣を身につけようという内容で、今でも人気のある「嫌われる勇気」にも通ずるところがある。
ショパンゾンビ・コンテスタント/町屋良平
新潮4月号で読み、すごく好きだと思った。それから数ヶ月経ち、10月の末に単行本化することを知った。それを受けてバイト先の本好きの人に薦めて読んでもらったが、「あの薦めてくれた本さあ……」と一口目で「まじで眠かった」と言われてしまった。
その人はたしかにどちらかと言うとエンタメ文学が好きだから、展開の次元で見ると確かにそうだと素直に思えた。鮮やかなほどに純文学だったのだ。
言語化表現を注視すれば、不思議な体験だった。ふつう言語化となると思い描いていることのほとんどが削がれ、否応なく抽象作業を経る。
ところがこの小説は表出された言葉を超えて何かを表している。イメージが浮力を持ち、それを言語化してさらに読まれることで、伝達を完了させている。
当然なことだろうが、読み手に委ねるしかないところまでコントロールされている印象を受けた。上のことがあったから、容易にはお薦めはしない。
ただぼくのした不思議な読書体験をしてみたいという人には、是非手に取ってみてほしい、と思う。
鱒子 哉@masukokanaさんより
「1R 1分34秒」で芥川賞をとった町屋良平さんの作品。
ピアニストになることを止め小説家を目指す「ぼく」、ピアノの才能がある親友、その恋人、バイト先の友人、四人の青春物語。
鱒子さんの紹介文にもある通り、ハラハラするような展開が繰り広げられるエンタメ小説とは違い、低温で抑揚の少ない町屋さんらしい作風。
地の文と会話文のはっきりとした境界線が感じられないところが良さでもあり、そこが読み手を混乱させる要因にもなっているという読む人を選ぶ作品であると言える。
ただ本好きであればこういった本も一度は通っておきたい。
弟を殺した彼、と僕。/原田正治
著者の弟は交通事故死から一転、弟の雇用主に保険金目的で殺害されたことが後に判明(半田保険金殺人事件)。被害者遺族となった著者らを苦しめる様々な事を乗り越えつつ、弟を殺したかつての知人(弟の雇用主)と面会や文通を重ねる。
著者は決して彼を許している訳ではない。死刑囚が確定した途端、彼との面会が叶わず、被害者遺族の気持ちが置き去りにされた現状に対して行動を始める。
著者は決して死刑廃止論者ではなく、弟を殺した彼に「なぜ弟だったのか」を聞くことができないままに、彼の死刑が執行された。被害者遺族の気持ちは置き去りのままの現状の問題点を問う必読の書だ。
死刑存廃は被害者遺族の気持ちを抜きに議論を進めることは出来ないと思いました。
ドニー・ダーコ@読書垢たまに映画と漫画さんより
死刑についての論議はほとんど死そのものに対するもので、被害者に重点を置いた論議というのは二の次になってしまっている印象を受ける。
残された遺族は崖から突き落とされ、その崖に加害者を落とす崖の上の一般人。
遺族が望むのは加害者を落とすことではなく、自分たちを崖の上に上げてもらうことのはずなのに。
これからの死刑のありかたにこういう意見を尊重してほしいと思わされる一冊。
ここからは超読書好きな僕のリアルの友達からおすすめしてもらった二冊を紹介するね。
居酒屋/エミール・ゾラ
貧しい人々の生活の匂いが立ち込める19世紀後半のパリで、女の人生が不運と弱さと醜さのフルコースで描かれる。
救いはなく、エピソードを読み進めるごとに嫌な記憶がよみがえるのに読むのがやめられない、小説としての強さがある。
作者ゾラは、この容赦のない悲惨な小説を、「私の作品の中で最も道徳的」と述べたという。目をそらさずに、人間の暗い本性が作り出した暗澹たる社会をひたすら観察し、正確に理解する。
その努力を積み重ねた先に、惨めに死んでいった人々が救われる未来への希望があると信じていたのだろう。
エミール・ゾラはフランスの自然主義文学の定義者だ。
自然主義文学というのは、誇張表現などを用いず事実をありのまま描く文学のことで、リアリズムの一種だよ。
日本では自然主義文学はあまり浸透しなかったけど島崎藤村の「破戒」や田山花袋の「蒲団」「田舎教師」などがこれにあたるんだ。
もっと簡単に言えば正確なカテゴライズではないけど、「渡る世間は鬼ばかり」のような日常を淡々と描いているものや、高畑勲監督の「火垂るの墓」のような作品も自然主義的だ。
事実と客観性を突き詰めた作品には空想や想像以上の説得力があって、人間がつい目をそむけたくなる隠された真実を見出す力がある。
それはとても平凡で、とても日常的で、とても残酷なものだと思う。
人間の土地/サン・テグジュペリ
不安定な機体と未整備の航空路。作家のサン=テグジュペリは、そんな時代に空を飛んだ最初期のパイロットの一人だった。
第一次世界大戦では戦闘機、戦後は郵便飛行機に乗り、自身の体験を美しい文章で綴った。彼は命知らずの冒険家であり、様々な土地で生きる人間を見つめる詩人であり、否応なく変化していく歴史の証人だった。
サン=テグジュペリは第二次世界大戦に従軍中、地中海上で消息を絶った。彼の代表作である『星の王子さま』の主人公は、砂漠に不時着したパイロットである。
飛行士としての15年間の経験を基に綴られたアントワーヌ・マリー・ジャン=バティスト・ロジェ・ド・サン=テグジュペリのエッセイ集。
エッセイでありながら小説のような文の美しさが読者をサン=テグジュペリの世界へと誘う。
映画『紅の豚』で飛行艇乗りを描いた宮崎駿は、サン=テグジュペリの長年の愛読者で、友情や、人間はどう生きるべきかという一種の哲学的な問いをロマンチックに描いた作品を作り上げた背景には「人間の土地」や「夜間飛行」の存在があると思われる。
次に読みたい本を聞いてみた
今回協力してくれたフォロワーのみんなに、次に読んでみたい本を聞いてみた。
・「そしてバトンは渡された」瀬尾まいこ
・「ひと」小野寺史宜
・「あなたの罪を数えましょう」 菅原和也
・『「後日談SSのふりーぺーぱーです」と、水品さんが言っています』隙名こと
・「自由からの逃走」エーリッヒ・フロム
・「ガーンジー島の読書会」 メアリー・アン・シェイファーとアニー・バロウズ
・「最後のひと葉 O・ヘンリー傑作選Ⅱ」 O・ヘンリー
・「鬼人幻燈抄」 中西モトオ
・「ツァラトゥストラはこう言った」 ニーチェ
・「赤と黒」 スタンダール
・「新聞という病」 門田隆将
・「パチンコ」 ミン・ジン・リー(邦訳待ち)
これらの本の名前が上がったよ。
他には昔読んだ純文学を読み返したいっていう人もいたね。
洋書が多いのもまた興味深い。
海外の文学って手を出しにくいけど、今回紹介した本は読書家さんのお墨付きだから、洋書に挑戦してみたい人は是非参考にしてね!!
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