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小説「人間失格」をレビュー。何故生きることはこんなに辛いのか。本当の自分の居場所はどこに

小説「人間失格」をレビュー。何故生きることはこんなに辛いのか。本当の自分の居場所はどこに
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おもちくん
おもちくん

今までで一番影響を受けた本は「人間失格」のおもち君だよ。

今日は太宰治の代表作とも言える小説「人間失格」について書いていくよ。

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「人間失格」について

1948年3月から書き始め、5月12日に脱稿された中編小説。

著者の太宰治はこの1か月後に愛人と入水自殺をしていて、遺作として現在でも読み継がれる彼の代表作の1つだよ。

太宰治の生誕100年を記念して2010年の2月に映画公開もされた。

また「人間失格」をモチーフにしたアニメ、漫画、音楽も多数存在している。

それほど多くの人に影響を与えた作品なんだね。

太宰治について

太宰治は1909年(明治42年)6月19日、青森県生まれ。

「走れメロス」は教科書の題材として扱われていることもあって年齢問わず知名度の高い作品だよ。

他にも「斜陽」「ヴィヨンの妻」「女生徒」「津軽」など有名な作品がたくさんある。

自殺未遂、女性関係の問題、薬物中毒など、かなり波乱万丈な人生を歩んでいる。

青森県の生家は太宰治記念館「斜陽館」として国の重要文化財に指定されている。

太宰の誕生日であり、入水自殺をして死体が発見された6月19日は、太宰の死の直前に書かれた作品名にちなんで「桜桃忌」と名づけられ、三鷹市にある太宰の墓には毎年太宰のファンが多く訪れているんだ。

「人間失格」の簡単なあらすじ

「恥の多い生涯を送ってきました。」

太宰治「人間失格」より

という有名な一文から主人公・葉蔵の手記を通して独白形式で物語は進んでいく。(小説の冒頭部分は第三者視点から始まる)

幼少期から他人のことが理解できない葉蔵は、自分と他人とは全く違うのだと不安を抱くようになり、他人にそれを悟られないように自分を道化として偽ることにする。

高校に進学し画塾に通っている時、年上の遊び人と知り合い、酒や煙草を覚え、左翼思想に染まっていく。

その後親しくしていた女性と内縁の関係を築いたものの、不運な出来事があり葉蔵はショックのあまり薬での自殺を図るが失敗してしまう。

葉蔵が運ばれた病院は一般的な病院ではなく、脳病院(今で言う精神科に近い場所)であったため、「人間失格」という烙印を押されてしまったのだと感じる。

「人間失格」と僕(レビュー)

この本を読み終わったあと、僕は自分の中に封印していた本当の自分を隠すことができなくなって、自殺未遂をしてしまった。

未遂に終わった僕は葉蔵のように精神科の隔離施設に連れていかれしばらく入院することになった。

この作品は太宰の自伝的小説だと僕は思っている。

小説を書くにはもちろん技術が必要だけど、それ以上にこの作品には太宰の魂が込められている気がする。

この「人間失格」という作品には人を滅ぼしかねない危ない要素があると強く感じる。

幼少期から自分を偽る、というのは誰でも多少は経験のあることかもしれない。

例えば人に良く思われようとわざと面白いことをしてみたり、親に見放されないように良い子を演じてみたり

だけどそれが行き過ぎると、本来の自分と演じている自分がだんだん別のものになってしまって、自分がどこにいるのかわからなくなり、挙句、自分がどこにもいないような錯覚に陥り、孤独に恐怖し不安に支配されてしまう。

そんな虚無感から生きている自分を確認するために、酒や煙草、セックス依存、自傷行為や薬物依存と発展していくんじゃないかな。

僕の個人的な話になってしまったけど、こうして生きている今、この作品を読んだことを後悔するどころか、ある意味救済であったと思う。

「人間失格」では人が無意識に隠している人間の本質的なものが描かれていて、まるで太宰治の魂が読者の精神をえぐってくるようだ。

話の内容を細かく説明したところでこの本については説明できる気がしない。

短い話だから読んでみてほしいな。

それからこの記事を読んだらもしかしたら僕が言いたかったことがわかるかもしれない。

逆に、心に何も影響を受けなかった人はそのままの人生を楽しんでくれたまえ!それはそれで精神的に健康で良いことかもしれない。

僕は読むとまたおかしくなりそうだからお守りみたいに本棚にしまってあるよ。

「人間失格」の関連作品

人間失格は本以外にも関連作品がたくさんあるんだ。その中から人気なものと僕が好きなものを紹介するね。

生田斗真主演、映画「人間失格」

純文学は映画にすると上手くいかない場合が多いんだけど、この作品は僕的にはかなり成功してると思う。

人によっては小説よりこの映画のほうが心をえぐられるかもしれない。

少しドラマティックにされているけど、作品の薄暗くて陰鬱な雰囲気が出てるし、原作にもわりと忠実だと思う。

小栗旬主演、映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」

人間失格の誕生秘話を太宰治と関係のある3人の女性を描いたオリジナル作品。

こっちは人間失格の内容と通ずるところはあるけどフィクション。

原作を読んだことがあって、別の作品として楽しむには良い。

「大丈夫、君は僕が好きだよ」とか「死ぬ気で恋、する?」とか、太宰治が女性たちに本当に言ったとされているセリフがたくさん出てくる。

僕は君が好きだよ、じゃなくて、君は僕が好きだよってちょっとキザだよね。

君のことは僕が好きでいるから大丈夫だよっていうニュアンス。

死ぬ気で恋、する?も太宰治が言うと本当に死の瀬戸際で恋愛してるように感じられる。

監督は蜷川実花。「さくらん」とか「ヘルタースケルター」の監督さんだね。

太宰治を小栗旬、3人の女たちを宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみって豪華すぎ。

成田凌、千葉雄大、瀬戸康史、高良健吾、藤原竜也も出演。ほんとキャストに力入れてんなぁ。

GARNET CROW「Rainy Soul」

人間失格を題材にした曲。

マイナー調で鬼束ちひろの月光のような物悲しい感じの曲だよ。

アルバム「STAY ~夜明けのSoul~」に収録されている。

VALSHE「人間失覚」

VALSHEの「人間失覚」はアニソン風。

現代版アニメ人間失格のテーマソング(架空の設定)的な感じだ。

アニソン好きの人は聴いてみてもいいかもしれないね。

この曲が収録されているアルバム「ジツロク・クモノイト」は文学作品をモチーフにしている曲ばかりが入ってるから、文学好きかつアニソン好きの人にオススメだよ。

僕は割とこういう曲も好き。

映画「人間失格」サウンドトラック

純文学(暗い話)の映画のサウンドトラックは名曲が多いっていうのがおもち統計で明らかになってるんだけどやっぱ「人間失格」も最高なんだよね。

映画のメインテーマはショパンのノクターンのような美しい旋律と哀愁が漂う。

病んでいる時にこれを聴いたら体の力が抜けて廃人になってしまう、かもしれない。

昔、僕がとくに病んでいる時、暗い部屋でお酒を飲みながら一人でこういう音楽を聴いていた(余計病む)

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まとめ

他人と自分は違う、という不安から道化として生きてきた葉蔵の独白は、人には隠しておきたいことも全て赤裸々に書かれている。

自分は「人間失格」なんだと感じ、それでも生きている実感を求めたり不安を紛らわせるために他人と何かを共有しようとする姿は、葉蔵だけでなく人間の誰しもがもっている姿なのかもしれない。

文学はこんなに人の心を動かすことができるのかと驚かされた作品でもある。

是非読んでみてほしい。

とオススメはしたいんだけど、僕のようになってしまう可能性があるから注意して読んでね。

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