音楽

【前編】Coccoの病んでる代表曲を紹介。美しくも病的な歌詞の考察もしていくよ。

【前編】Coccoの病んでる代表曲を紹介。美しくも病的な歌詞の考察もしていくよ。
記事内に広告が含まれている場合があります

みんなはCoccoっていう歌手を知ってる?

僕が初めてCoccoの曲を聴いたのは高校一年生の時。

当時椎名林檎にはまっていたことを知った友達が、もしかしたらこの歌手の曲も好きかもしれない、とCDを貸してくれたのがきっかけだった。

借りたのは「ブーゲンビリア」というアルバム。

このアルバムを聴いてすぐに、あ、これは大好きなやつだ、と確信した。

新しく自分の好みの曲(しかも今まで知らなかったアーティスト)を発見した時の喜びはいつになっても新鮮で心が踊る。

それから僕はCoccoのアルバムを集めるようになって、自分が好きなのは初期の曲がほとんどだったってことに気づいたんだ。

そんなCoccoの代表的な病んでるけど美しいおすすめの曲を紹介するね。

Coccoの曲はAmazon Musicでたくさん聴けるよ。

おもち一押しのストリーミングサービスだから無料期間だけでも使ってみてね。

スポンサーリンク

Coccoについて

1977年生まれ、沖縄県那覇市出身のシンガーソングライター。

歌だけではなく、小説、エッセイ、絵本の作家であり、映画に出演したこともあるんだ。

バレエダンサーになることを夢見てオーディションに応募するものの、なかなかうまくいかず、上京してバレエのオーディションを受けられる好条件の新人歌手オーディションに姉のすすめで行く。

オーディションの結果は不合格だったけど、レコード会社の人が沖縄まで彼女を探しにやってきて歌手にならないかと誘うんだ。なんか漫画の話みたいだね。

歌手になりたいという気持ちは当初抱いていなかったけど、バレエのオーディションで自分を落とした審査員を見返してやるという気持ちから歌手になることを決める。

ライブのMCの様子を見ると、喋りがあまり得意でなくたどたどしく話す様子がわかる。可愛らしいトークとは裏腹に、歌になるとまるで別人かのように叫んだりもする。

歌声は美しく、民謡歌手のような高音の伸びとストレートな表現で聴く者を圧倒する力を持っている。

おもちちゃん
おもちちゃん

あたいもCoccoみたいに高い声出したい!

おもちくん
おもちくん

彼女は声の音域が4オクターブもあるんだって!

おもちちゃん
おもちちゃん

ひゃああああああああああああああ

Coccoの代表的な美しい病んでる曲を紹介&考察

多くの曲を出してきたCoccoの曲の中から、とくに病んでる曲を紹介するね。

美しい旋律と激しいバンドサウンドの融合で、ただ病んでるわけでもなく、ただ美しいだけでもなく、心に潜む闇を吐露するような曲たちだよ。

歌詞の考察もしていくね。

静かなストリングスの前奏から歌が始まると同時に大音量のロック風バンドサウンドが広がる。

抱きよせて 絡まって
引き裂いて 壊したい。
悩ましく 誘って
蹴落として 潰したい。
あなたと見た海に
その首を沈めたい。

出典;作詞こっこ 作曲 柴草玲「首。」/Coccoより

何があったん?っていうサビ。

このサビだけでだいたいがわかるってのがすごい。

あなたのことを愛しているけど同時に壊してしまいたいという衝動。

狂気染みてる女性の心理が描かれてるね。

そしてサビの最後の「あなたと見た海にその首を沈めたい」はタイトル回収。

サビの蹴落として潰したい、まではE7っていうコードが使われてる。E7は長調と短調が同居する特殊なコードで、不安定な不協和音なんだ。

まさに冷静を保とうとするけど愛の狂気が溢れ出すという歌詞にピッタリなコードなんだ。

サビから始まって二番のAメロの部分↓

これからも これから先も
私ほど純粋(キレイ)な女(ヒト)に
会えるわけ ないことぐらい
わかっているでしょ?
目を覚ましてよ
からっぽの身体
深い闇へと葬られた

出典;作詞こっこ 作曲 柴草玲「首。」/Coccoより

サビの部分は一転して、長調の優しいサウンドが広がるんだけど、もう声がね、頑張って冷静になろうとしてるけど我慢して声が震えてるの。っていう表現がすごいの。

わかっているでしょ?の部分から相手を責め立てるようにだんだんと声が荒らしくなっていって、そしてさっきの爆発したサビへと繋がるんだ。

そして最終的に「あなたと見た海にこの首を沈めたい」っていう物悲しい終わり方をする。

海で何があったんだろう。あなたとの思い出が詰まった海なのか、それとも別れを告げられた海なのか。自分のことを忘れさせないっていう呪いみたいだね。

首だけの状態で抵抗することもできずただ沈んでいくだけの首。ホラーだ。

カウントダウン

物静かなピアノとストリングスのイントロ。

「首。」と同様サビに向かって感情が高ぶっていく。

曲調だけではなくサビの前には「撃ち殺されたいの?」と不穏な空気が漂う。

まだ間に合うわ今なら
まだ戻れるわ急いで
あの女にはできない
この想いには勝てない
さあ、早くして
撃ち殺されたいの?

出典;作詞こっこ 作曲 根岸孝旨「カウントダウン」/Coccoより

この曲には「わたし」以外は「あの女にはできない」の「あの女」しか出てこない。

何があの女にはできないのだろう。

血迷った過ちに
気付いて泣き叫ぶがいい
はり裂けたこの胸に
甘えてごらんなさいな
時間がないわ
跪き手をついて
わたしに謝りなさい
力なくしなだれて
わたしを愛していると
つぶやきなさい。

出典;作詞こっこ 作曲 根岸孝旨「カウントダウン」/Coccoより

とにかく乞い贖えと。

浮気をした男への制裁なのか、それとも嫉妬心の塊のわたしの被害妄想なのか。

発狂モードのサビだけど、最後の、「つぶやきなさい」だけ静かに言うのが怖い。

1番2番のサビの終わりは「撃ち殺されたいの?」と脅しているけど、一番最後だけ「撃ち殺してあげる」なんだよね。そして3カウントが始まる。

Coccoと言えば息遣いがとっても特徴的。

カウントダウンもこの息の仕方で臨場感が出てるなあ。

遺書。

カウントダウンのカップリング曲。

タイトルの通り、自分が死んでしまったら、もし意識のない病人(植物状態かな?)になってしまったら、という前提であなたに向けた遺書。

もし後者になってしまったらあなたの手で終わらせてほしいとも。

そしてそのあと別の誰かを愛することもあるだろうけど、そうなったら幸せになってほしい。ただ自分のことを誕生日にだけでも思い出して泣いてほしい、という切ない内容だ。

「首。」にも、あなたと見た海というフレーズがあるけどこの曲にも海が登場する。

タイトルに「。」がついていることも共通している。もしかしたらこの二曲は同じ人を想って作ったものなのかも、と推測してみる。

「首。」と「カウントダウン」が狂気的で激しい曲調だったのに対して「遺書。」は柔らかく切ない気持ちが溢れている曲だ。

そして灰になった
この体を
両手に抱いて
風に乗せて
あの海へと
返して下さい

出典;作詞こっこ 作曲 成田忍 編曲 根岸孝旨「遺書。」/Coccoより

サビの「灰になったこの体を両手に抱いて」っていう部分がとっても好き。

身体なのに肉体ではなく、灰となっているものを抱いてという表現が、生きていた時と死んでしまったあとの対比がされていて余計切なくなる。

弱ってる時とか失恋した時に聴くと思わず涙が出てしまいそうな優しくて悲しい曲だよ。

眠れる森の王子様〜春・夏・秋・冬〜

ピアノと歌で静かに始まる曲で、あ、これは大人しい曲なのかな?と思わせておいて高音のノイズが走り序盤からオルタナティブロック全開の思わずヘドバンをしたくなるような激しい曲。

歌詞はさらっと流すと、なんとなく今までの独占欲と嫉妬心にまみれた女性の歌かな?って感じなんだけどよく聴いてみると気になるところが。

焼きつくその寝顔
甦るのは眠れる森の王子様
もう目覚めないで

出典;作詞こっこ 作曲 根岸孝旨 編曲 石田小吉「眠れる森の王子様~春・夏・秋・冬~」/Coccoより

そう、眠ったままのほうがいいのだ。

眠るというのが直接的な意味なのか比喩的な意味なのかはわからないけど多分比喩的表現で、自分のことだけを見ている(見させられている)状態を表しているんじゃないかな。

サビはだいたい同じような内容で

春と夏と秋と冬を2人で
他の誰も愛さぬよう
春と夏と秋を冬をこうして
他の誰も見えないように

出典;作詞こっこ 作曲 根岸孝旨 編曲 石田小吉「眠れる森の王子様~春・夏・秋・冬~」/Coccoより

と暗い森で2人で過ごしている様子が描かれている。

主人公の女性にとって王子様は暗い森の中で自分と二人で眠っているほうがいいと思ってるんだ。

自分だけ見てくれるように、暗い森(これは家だろうか)に王子様を隠して他人を接する機会をなくしてしまいたいという願望がサビに現れてる。

それからサビの最後は

私は糸を紡いでいる
私は1人血を流している

出典;作詞こっこ 作曲 根岸孝旨 編曲 石田小吉「眠れる森の王子様~春・夏・秋・冬~」/Coccoより

とまた意味深な終わり方。

今この記事で抜粋していない歌詞の部分なんだけど、懐かしい名前、肩に残る匂いまでも覚えていた、焼きつくその寝顔、っていうワードから王子様は過去の人間じゃないかなあと思う。

そして現在は傍にいない。いるのは別の男性。その男性との生活を、糸を紡ぐと表現して、打ち明けられない心の闇を、私は1人血を流していると表してるんじゃないかなあと。

深読みしすぎワロタかもしれないけど。

ここまでの曲はCoccoのファーストアルバムの「ブーゲンビリア」に収録されてるよ。

Coccoのアルバムの中でも特におすすめなんだ。

Raining

3番目のシングル曲で、ベスト盤にも収録されている人気の曲。

「Raining」の歌詞には気に入っていたはずのおさげ(髪の毛)をハサミで切り落としたり、髪の次は腕を切るという自傷行為の様子が描かれている。

Coccoは拒食症で、自傷癖もあった。パニック障害や鬱を患ったりしていたことも告白している。

ミュージックビデオ(DVD)もよく見てみると腕に傷跡があるのがわかるし、精神的な病気で苦しみながら生きているということがわかるよ。

そんなCoccoだからこそ書ける歌詞だなと強く思うのが「Raining」なんだけど、単に自傷行為について書いてあるから、っていうわけじゃない。

今日みたく雨なら きっと泣けてた

出典:作詞作曲こっこ 編曲 根岸孝旨「Raining」/Coccoより

「Raining」はこの一文に集結されてるって僕は思うんだ。

「Raining」はずっととても晴れた日の回想が描かれるんだけど唯一ここだけ雨が出てくるんだよね。

自分は未来もいらないし、教室では誰かが笑ってるけど自分はひとりぼっちだし、大切なあなたはもういないし、苦しいのに天気は無情にも快晴で泣くにも泣けない。

心が傷ついて弱り果てている時、さわやかな青空が広がっていたら自分だけ世界から取り残されているような気持ちになる。

もしも、世界も自分と同じように悲しんでいたら(雨だったら)思いっきり泣くことができたかもしれない・・・。

教室が出てくることからこの歌はまだ学生だった頃のお話で、それを大人になってから思い出している歌なんだと思う。

曲調はずっと長調で明るいんだけど、歌詞は結構暗い。

これは晴れた日と雨の様子の対比構造になってて、スイカに塩かけたら甘くなるみたいなそんな効果をもたらしている。

【余談】

僕が高校生の時、人生で一番病んでてね、面倒みてくれてた先生がいたんだけど、とくにその日は病んでて、「もう帰る」って昼過ぎに先生に言って帰ろうとしたんだよね。

だけど先生は「まだ帰らないで」って僕を止めた。「なんで?」って訊いたら「空がまだ青いから」って答えたんだ。

その時は全く意味がわからなかったんだけど、後からなんとなく意味がわかったんだ。

多分、こんな青空の下を歩いたら余計辛くなるって先生は思ったんだなって。

だから「Raining」の「今日みたく雨ならきっと泣けてた」って部分を聴くと心が苦しくなるんだよね。

雲路の果て

昔の恋人のことを想いだして苦しむ様子が描かれた歌で、もし~だったらっていう仮定ばかりしてしまう切ない曲。

たしかに、失恋した時って、あの時ああしてれば別れなくてすんだのに、とかあの時こうしてれば好きにならずにすんだのに、って後悔することってよくあるよね。

この目さえ光を知らなければ
見なくていいものがあったよ
からだがあなたを知らなければ
引きずる想い出もなかった

(中略)

小鳥が声を殺していれば
あの時翼が折れてたら
あなたがわたしを抱いていたら
今でも溶けあっていられた?

出典:作詞作曲こっこ 編曲 根岸孝旨「雲路の果て」/Coccoより

比喩的表現と抽象的な歌詞だから聴く人によって情景が違って見えるかもしれないね。

幸せなんて知らなかったら今こんなに不幸だってことも知らずにすんだのにっていうところが、あなたといた時間の幸福さを物語ってるよね。

スポンサーリンク

続きは後編で

Coccoの曲が好きすぎてつい長くなっちゃったから続きは後編の記事で!!

Coccoの曲はAmazon Musicでたくさん聴けるよ。

おもち一押しのストリーミングサービスだから無料期間だけでも使ってみてね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました