昔からビジュアル系の音楽が好きな僕だけど、ビジュアル系なら何でも好きってわけじゃない。
ビジュアル系と言っても色々なバンドがいるからね。
見た目がホストっぽくて曲もポップな感じのバンドもいるし、見た目からして病んでる!っていうバンドもいる。
その中でDIR EN GREYはどれにも属さない唯一無二のバンドだ。
昔は病んでる系のコテコテメイクのバンドだったんだけど、だんだんとDIR EN GREYの世界観が深まって今ではジャンルにとらわれない独特な存在となっているんだ。
今回はそんなDIR EN GREYの曲の中でも心が重たくなるような鬱曲を5曲紹介するね。
DIR EN GREYについて
1997年結成、京(ボーカル)、薫(ギター)、Die(ギター)、Toshiya(ベース)、Shinya(ドラム)の5人組バンド。
ビジュアル系ロックバンドとしてデビュー、今ではジャンル、カテゴライズ不要、不能。
独自の世界観で創り出される曲は当初から人間の感じる痛みをテーマにしている。
結成から2年後の1999年にはX JARAN・YOSHIKIプロデュースのもと、「アクロの丘」、「残-ZAN-」、「ゆらめき」のシングルを同時発売して、全てオリコン10位以内に入ったんだ。
「残-ZAN-」と言えば、ミュージックステーションに出演した時の話が有名だ。
過激なパフォーマンスと曲に対して「子供に見せられない」とテレビ局に苦情が入って、以後Mステには出演しなくなったという話だ。
たしかにその頃のメイクや衣装、曲のPVはグロテスクなものが多かった。
僕には問題に感じられなかったが・・・。
メディアは批判的な意見にすぐ動かされるものだから仕方ないかもね・・・。
2007年頃まではライブでパフォーマンスとして自傷行為をすることもあった。
口の中をひっかきまわして口から血を出しながら歌ったり。
ギタリストがギターを振り下ろして壊したり、YOSHIKIがドラムセットを投げたりするボーカル版といった感じだ。
それにもやっぱり批判の声はあった。
ちなみに僕はアーティストが表現のためにすることに制限などないと思っている。
そんなDIR EN GREYは、今や日本だけでなく海外での評価もとても高い。
米ビルボード誌Top Heatseekersチャートでは1位も獲っていて、YouTubeでは視聴者のコメントも海外からと思われる英語のコメントがかなり多く見られる。
ちなみにDIR EN GREYのファンのことは「虜」と言う。
たしかにDIR EN GREYの世界に一度入ってしまったら虜になってしまう。
ビジュアル系が好きじゃない人でも世代の人(現在35歳~45歳ぐらいの人)なら先に紹介した3曲と「-I’ll-」「予感」あたりの初期シングルはかなり売れているから知っている人もいると思う。
マイナーコードがメインの曲がほとんどで、明るい曲を探すほうが難しい。
それと、痛みをテーマにしているという軸がずっとぶれていない。
それが昔からファンが離れていかない大きな理由だと思う。
心が重たくなるおすすめ曲5選を紹介
前置きが長くなったね。DIR EN GREYは曲数も多くて名曲揃いなんだけど今回は「心が重たくなるおすすめ曲」を5つ紹介するね。
心が沈んでいる時、病んでいる時、落ち込んでいる時に聴くとさらに病んでしまうような重たい曲だから注意して聴いてね。
咀嚼
2014年12月に発売されたアルバム「ARCHE」(アルケー)に収録されている曲。
歌詞が抽象的で解釈が難しい曲だ。
丑三つ、3つの~というフレーズ、そしてこのアルバムの全体的なイメージから、輪廻していく子供の魂が現世に閉じ込められて彷徨っているというイメージを僕は持った。
デスボイスやシャウトはほとんど入っていない比較的聴きやすい曲。
サビ以降のハイトーンボイスは京にしか出せない、力強くもどこか悲観的な美しさが漂っている。
濤声
こちらもアルバム「ARCHE」(アルケー)に収録されている曲。
「とうせい」と読む。
やはり抽象的な歌詞だけど、咀嚼よりはわかりやすい、気がする。
大事な人を失ってしまった時に、「悲しい」「辛い」「苦しい」という感情が大きすぎて、それを隠すように何でもなかったかのように過ごしてみるけれど、ふいに涙がこぼれて一気に負の感情が押し寄せてきた時に、自傷行為をしてしまった。
滴る生暖かい血を見て、「自分は死にたいぐらい傷ついているんだ」という実感を得る。
大事な人が遠ざかっていき、心の奥底にある感情が徐々に「自分はそんな世界に生きているんだ」という実感を沸かせる。
こんな感じに僕は解釈した。
デスボイスやシャウトはほとんどなく、サビ前は優しい低音、サビは切ない高音のメロディーが心を締め付ける。
空谷の跫音
【荘子《徐無鬼》「それ虚空に逃るる者・・・人の足音の跫然たるを聞きて喜ぶ」】空谷に聞こえる人の足音。転じて、寂しく暮らしている時に受ける人の訪れ。また、非常に珍しいことのたとえ。
広辞苑第六版 P782「空谷」の項より
タイトルは故事のことわざだ。
歌詞の解釈なんだけど、途中に115時間っていう数字が出てくるんだ。
これを色々調べてみると、受精卵から胚盤胞が形成されるまでの時間がだいたいそれぐらいとか。
それを意識するとこの曲の歌詞は、流産してしまった女性の歌なんじゃないかと感じるようになった。
ガゼットの「紅蓮」に近い。
タイトルの「空谷の跫音」の意味の「寂しく暮らしている時に受ける人の訪れ」は妊娠したということなんじゃないだろうか。
全て僕の想像だけどね!
失恋したあとの歌詞にもなりそうだし、人によって受ける意味に違いが出てきそうだ。
デスボイス・シャウトは一切なしでスローテンポの曲。
これも「ARCHE」に収録されているよ。
「ARCHE」は名盤決定だね。
蟲-mushi-
2002年1月に発売されたアルバム「鬼葬」に収録されている曲。
アコギから始まる静かでスローテンポな曲で、自分の本当のことや過去のことを人には話せず、心を閉ざして生きていく辛さを歌っている。
人を信じることもできない孤独の中。
こんな世の中で本当の自分を殺して生きていくという痛みを嘆いているようだ。
先に紹介した3曲よりも叙情的な歌い方でDIR EN GREY初期~中期の京の歌い方の良さが詰まった一曲だよ。
CONCEIVED SORROW
2007年2月に発売されたアルバム「THE MARROW OF A BONE」に収録されている曲。
タイトルの意味なんだけど、CONCEIVEDは創り出される、という意味、SORROWは悲しみ、悲痛、悲嘆の意味があるから、生まれた悲痛、とか、(私の中で)作られた悲しみ、といったような訳になると思う。
不穏なピアノのイントロから入って、曲の静かな部分(サビ以外)には京の語りかけるような声とピアノの音色が散りばめられている。
孤独は人を残酷なまでに傷つけ滅ぼし、しかし生きていくためにはこの孤独や痛みは隠していかなければならない。
優しさは全て嘘だと感じ、愛など信じることもできない自分は、裏切りのない優しさに包まれて静かに眠りたいと絶望しながら生きていく、そんな歌詞だ。
この5曲の中で一番のお気に入り曲だよ。
まとめ
DIR EN GREYの心が重たくなる曲5選では「ARCHE」から3曲、「鬼葬」から1曲、「THE MARROW OF A BONE」から1曲を選んだよ。
アルバム別で見ると、心が重たくなる、というカテゴリーでは「ARCHE」がおすすめだね。
DIR RN GREYは結構歌詞が聞き取りづらいから、歌詞カードを見たりネットで歌詞を見ながらとかしながら聴くとより曲の世界観を味わえるよ。
あとは、痛みと向き合う覚悟も必須だね。
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